日々の戯言

上田久美子の「退団」という名の「解放」



おはようございます。

む〜です。

 

以前から噂は聞いていましたが、

上田久美子先生、宝塚歌劇団を退団されましたね。

 

ウエクミの愛称で多くの宝塚ファンに愛され、未来の宝塚歌劇を担う人材として期待されてきた上田先生だっただけに残念なお話ではありますが、退団の風潮は実はだいぶ前からありましたよね。

 

上田久美子先生の作品を見るたびに、彼女の配役の仕方、脚本構成の練り方、演出の仕方の面白さ・恐ろしさを感じていたのでとても寂しい気持ちでいっぱいです。

 

これまでのウエクミ作品

今までのウエクミ作品をまとめるとこんな感じ。

脚本・演出作品一覧

  • バウ・ロマン『月雲の皇子 -衣通姫伝説より-』(2013年、月組 宝塚バウホール・天王洲銀河劇場)(主演:珠城りょう) *演出家デビュー作品
  • 『翼ある人びと -ブラームスクララ・シューマン-』(2014年、宙組 シアタードラマシティ・日本青年館)(主演:朝夏まなと)
  • 『星逢一夜(ほしあいひとよ)』(2015年、雪組)(主演:早霧せいな) *大劇場デビュー作品、2017年に中日劇場で再演
  • 『金色の砂漠』(2016年、花組)(主演:明日海りお)
  • 『神々の土地〜ロマノフたちの黄昏〜』(2017年、宙組) (主演:朝夏まなと)
  • Once upon a time in Takarazuka『霧深きエルベのほとり』(2019年・星組)(主演・紅ゆずる)
  • 『FLYING SAPA -フライング サパ-』(2020年・宙組 )(主演:真風涼帆)
  • 『f f f -フォルティッシッシモ- ~歓喜に歌え!~』(2021年・雪組)(主演:望海風斗)
  • 『桜嵐記』(2021年・月組)(主演:珠城りょう)

宝塚らしい華やかさもしっかり残しつつ、他の宝塚脚本家とは異なる独自の世界観がウエクミ作品の魅力でしょう。

どの作品でも共通して「触れれば壊れる美しい世界」を広い舞台で堂々と展開しています。

 

ショー・レビュー作品

ショー・テント・タカラヅカ

『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』 (2018年・月組)(主演珠城りょう)

ショー担当として初めて手掛けた作品が4年前に上演されたBADDYだったのですが、

全く「ショー初めて🔰」感を感じさせない。

寧ろ、出てきて早々従来のショー概念を覆したのがウエクミ先生でした。

 

そしてBADDY上演からもう4年も経っている事実に驚きですね!

今見ても斬新でかっこいいあのショーが、4年前なんて信じられません。。

 

番手に囚われすぎない脚本

宝塚の作品を「宝塚」たらしめているのは、 宝塚の番手制度

 

ここで言う、「宝塚の番手制度」とは、

 

”トップスター、トップコンビは勿論、2番手、3番手は必ず作品上の重要人物を演じる”

ということ。

 

役替わりなどがあっても、基本的にはこの番手制度の上で作品を作ることが宝塚の脚本家には求められています。

 

作りたい作品、番手制度、ピックアップしないといけない下級生

この3つを上手くパズルのように( by小池修一郎)組み合わせて一つの作品を作るのが宝塚歌劇団。

 

役者ごとに、適材適所を行うことができないのが宝塚の難しいところです。

 

で、ウエクミ先生の凄い、、というか怖いところは、

 

番手に拘っているように見えて番手に拘っていないところでした。

 

役者の良さ・悪さを見極めている怖さ

ウエクミ先生の配役の何が現実的で怖いのかと言いますと。

 

タカラジェンヌ一人一人の持ち味をよく理解していること。

 

内部の人間とは思えないほど、客観的に、そして冷静に舞台人としての彼女たちを見ていると思うのです。

例えばですけど、

 

・歌を歌える生徒には歌を歌わせる

・芝居が上手い生徒には難しい役を敢えて与える

・歌が下手な生徒は基本的に歌わせない。

・芝居が下手な生徒には目立った出番がない。喋らせない。

 

これを番手を問わず行うのです。彼女は。笑

 

至極当たり前の演出・配役のような気もしますが、宝塚ではなかなかこういう人はいません。

 

「誰が」とか、「どの作品の時は」とかまで、ここでは明言しませんけど、

できる人には出番が多い、それ相応の役を与えるのがウエクミ先生です。

 

逆に、番手が上でもお歌が微妙だったり、お芝居が微妙な人に対してはその欠点が隠されるような役を与えます。

 

生徒の良さを引き出して、悪い(足りない)部分を敢えて引き出すようなことをしないとも言えます。

 

ウエクミ先生の役のつけ方を見ていると、各タカラジェンヌが舞台人として先生にどう見られているかが良く良くわかります。

 

退団という名の「才能の解放」

ただ!!

この宝塚ならではの魅力(番手制度・スター制度)は脚本演出を担当する先生方にとっては大きな制約にもなります。

この制約を楽しみつつ舞台を考えることのできる先生は宝塚歌劇団の座付演出家が向いているのだと思います。

 

しかし上田久美子先生には合わなかったのでしょう。

 

ぶっちゃけ宝塚歌劇という枠が彼女の創作物には狭すぎたのだと思います。

もしくは宝塚歌劇の制約の中で自分が描いてみたかった作品は描き切ってしまったのかもしれません。

 

上田久美子先生にとって今回の退団は自身の創作の「解放」も意味するのでしょう。

 

この予兆は「フライングサパ」あたりから見えはじめましたよね。
宝塚の中ではかなり異色な作品でしたし、それゆえに賛否両論巻き起こした作品でした

だいもんの退団公演「fff」も素敵な作品でしたが、彼女の抱えるジレンマ(宝塚歌劇の制約である番手制度や注目生徒の抜擢など)がところどろこで燻り、結果として上田久美子の作品にしては切れ味の悪い作品に仕上がっていた印象です。

 

「fff」を見た頃からなんとなく上田久美子の宝塚での限界が見えた気がしていたので今回の退団は彼女のためにも宝塚歌劇のためにも正しい決断だと思います。

 

宝塚のレベルを超えた見応えある舞台

ウエクミ先生の舞台。

私は毎回感動しますし、何度も見たくなる中毒性があります。

 

それは何故か。

 

彼女ならではの独特の世界観も好きですけれど、ウエクミ先生の配役の仕方が好きなんだと思います。

 

そして、こういうと他の座付の先生方に失礼かもしれませんが、いつからか彼女の脚本・演出は宝塚のレベルを超えていたと思います。

 

嘘のない、無理をさせない、美しい舞台。

 

時には残酷にさえ見えますが、これが見応えに繋がっていたと思います。

 

ウエクミ先生は今後、フリーの演出家として活動。
舞台表現を学ぶため欧州への留学も予定されているとのことです。

 

どこにいてもきっと上田久美子先生は輝かれるはず!!

宝塚歌劇に新しい風を入れてくださりありがとうございました。
これからのご活躍も楽しみにしています!

 

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